予知夢? パート12

私は、自分の行くべき道が定まったので精神的に落ち着いていました。でも、反比例してSさんと義母は喧嘩ばかりしていました。

義母があまりにもSさんを責めるのでそんなに責めないで欲しいとお願いしました。「随分と優しいのね。じゃあどうしてSと私を捨てるの?」

義母もSさんの経済状態は理解していました。

「これ以上Sさんといるといつか私の人生を返してと言うと思う。今なら恨まないで別れられる。」私はそう答えました。義母は、理解出来ないようでした。

この時、私達は一軒家を借りていました。

都心から離れていたのとキャンペーン期間中で家賃が値引きされていました。

義母は認知症があった為、この家を売れば良いと言うのです。賃貸と説明しても理解できませんでした。「売れないなら、家に火をつけて3人で死のう。」とまで言うのです。

私は、苦笑するしかありませんでした。

 

引っ越しの日が近づいて来ました。先にSさん親子が引っ越し、私は、その何日か後に引っ越します。

Sさんの荷物はすごい量です。モノを捨てられないのです。私は、「捨てられないなら手伝えない。イライラして喧嘩になるから。」と伝えました。

Sさんは、黙々と引っ越しの準備を進めていました。

 

私は、なるべく変わらない態度で接していました。約5ヶ月間は家族として暮らして来ました。平和に別れたかったのです。

 私は、東京都から助成金を利用する条件として都営住宅に3ヶ月住めました。

家賃15,000円です。ただし、持って行ける荷物は自分で背負える荷物のみ。備え付けの家具もありました。私は、本当に大切な物を段ボールに5箱詰めました。

そして妹に預かって貰いました。だから殆ど捨てて来ました。

自分を振り返る時間ができました。私はどうしてSさんに惹かれたのか?

ずっと考えていました。Sさんは、私の父と母だったのです。私の父は商売人でした。母は、宗教にハマっていました。Sさんは、スピリチュアルなモノにハマっていました。同時に実業家に憧れていました。

義母と言う家族が居ました。このキーワードに私は惹かれていたのです。しかもこの時私は、お金がありました。

私は、幼い時無力な自分が悲しかったのです。両親の関係性をどうにも出来なかった。理屈的にはどうこうできる問題では無いと解っていました。

多分、Sさんを見た時、チャンスだと思ってしまったのです。家族が困っている。今の私なら家族を救える。もう無力な私ではない。

 

もし、彼が義母と住んでいなかったら、お金に困って居なかったら、私にお金が無かったら、

Sさんの中にスピリチュアルなモノと実業家への憧れが無かったら、

どれか一つでも欠けていたら私は彼に惹かれていただろうか?

私は、Sさんに惹かれていたのでは無く、Sさんを取り巻く状況に惹かれていたのです。

かつてインド占星術の先生が “あなたの自我の確立を促してくれる人と結婚する” は、あながち間違いとは言えません。

過去の出来事は変えられません。でも、学ぶ事によって未来を切り拓ける気がするのです。予知夢は、経験する必要があった。それだけの事です。

経験に無駄は無い。この物語はここでお終いです。最後まで読んでくれて有難うございました♪